初めに 新型コロナの影響で外出の機会が激減したこの数年。ますますオンラインショッピングの利用が世代を問わず浸透してきました。それに併せて、オンラインから店舗経営をスタートするというケースも増えてきています。 オンラインショップを立ち上げるといっても、方法は様々。楽天やAmazonといった大手サイトに登録したり、一から作り上げたり。 今回はその中でも、ここ2~3年で耳になじんできた「Shopify」と「BASE」の2サービスに焦点を当てて、比較をしていこうと思います。 「今まで作ってきたものを、試しに売り出してみたい」「実店舗で販売しているけど、オンラインにシフトできるのだろうか」と考えている方、ぜひ最後までご覧ください!そもそも「Shopify」「BASE」とは? まずそれぞれの成り立ちから簡単に。 Shopifyは、2006年にカナダで創設されたECプラットフォームです。世界175か国で、Shopifyを利用したオンラインストアが運営されています(2021年11月)。日本進出の基礎となるShopify Japanの立ち上げは2017年です。 一方BASEは、2012年に日本で誕生しました。ネットショップ作成サービスです。他国への進出はしておらず、国内のオンラインストア経営サービスに特化した事業形態となっています。機能を比べる 概要についてお伝えしたところで、いよいよ本題です。まずは、ShopifyとBASEそれぞれの機能について見てみましょう(表1)。 表1 ShopifyとBASEの主な機能 どちらも、登録できる商品数には制限はありません。運営を拡大したいと思った時に、取扱商品の上限を考えなくてよいのは、ひとつ安心できる所ではないでしょうか。 それぞれで異なる点について、幾つかピックアップしてみます。 まずはプランの選択肢。Shopifyは、月額料金やサービス手数料別に5つのプランが用意されています。このうち1つは、既存のWebページでの物販、実店舗経営のサポートをメインにしたプランです。BASEには、2つのプランがあります。 続いて、受けられるサポートについて。BASEのサポート体制は、平日10~19時受付のメール窓口、平日13~18時のチャット窓口となっています。Shopifyでは、24時間受付のメール窓口があります。さらに英語圏の一部の地域では、24時間対応の電話・チャットサポートが展開されています。今後の、Shopifyのサービス拡大に期待です! 最後に売上振込までの日数ですが、この部分は少し複雑な計算が発生してきます。まずShopifyでは、売り上げの受け取りを週単位/月単位で選べます。週単位の場合、振込予定日は『5日+支払い曜日(月~金)までの残り日数』です。例えば、売り上げ受け取りを金曜日に設定している場合、月~金曜日の売り上げは翌週の金曜日に、土日の売り上げは直近の翌金曜日に売り上げが振り込まれると考えれば大丈夫です。BASEでは、申請から10営業日後が振込予定日です。月額経費で比べる 「どんな事ができるのか」が何となく見えてきたところで、月額手数料についてもそれぞれ見ていきます。Shopifyの基本料金が低い2プラン(ベーシック/スタンダード)とBASEの2プランを、今回は比較対象としています(表2)。 表2 ShopifyとBASEの月額手数料 Shopifyはどのプランを選択しても基本利用料が発生してきます。BASEでは基本料金フリーのプランがありますが、その分注文ごとに発生する手数料の種類が多いです。4プランの月額手数料を月商別で計算してみると、「10万」「17万」「24万」の3つの金額で、経費の逆転現象が発生してきます(表3、グラフ1)。 最初のポイントは「10万」。9万まではBASEの従来プランがもっとも月額手数料が安く、10万からはShopifyのベーシックプランが一番オトクになります。そして、BASEを使い慣れていて他サービスに移行せず使い続けたい人は、「17万」が次のポイントとなります。16万までは従来プランの方が安く、17万以上はグロースプランの方が安くなってきます。そして最後のポイントが「24万」です。24万を超えるとBASEの従来プランがもっとも月額手数料が高くなります。個人的には、ここまで収益を上げられるなら、より本格的な経営分析ができるShopifyのスタンダードプランの利用をオススメします(表4)。 表3 ShopifyとBASEの月額手数料(月商別) グラフ1 ShopifyとBASEの月額手数料(月商別) 表4 ShopifyとBASEのプラン別での主な機能運営方針を定めて開設しよう これまでの比較をまとめると、ShopifyとBASEの選択目安は、次のようになってくると思います。 ◎扶養範囲内でクラフト作品を販売したい、趣味の延長で物販を考えているなど、手軽にオンライン販売をしたい →BASEの月額無料プラン(月商10万円未満) ◎事業の主要な部分としてオンライン販売に取り組みたいが、なるべく費用は抑えたい →Shopifyのベーシックプラン(月商10万円以上) ◎BASEでオンラインショップの運営に慣れてきたので規模を大きくしたい(店舗移動も考えたが、BASEで続けていきたい) →BASEのグロースプラン(月商17万円以上) ◎事業の主要な部分としてオンライン販売に取り組みたい(運営作業を複数人で分担したい) →Shopifyのスタンダードプラン(月商24万円以上) オンラインショップといっても、運営目標、運営方法はそれぞれです。お店を持つ以上、ご自身の計画に一番沿ったサービスやプランを選択して開店・運営されるのが一番です!今回の記事が、その手助けとなりますように。